同窓会長あいさつ
九州高校同窓会は昨年で五十周年を迎えました。
現在、正会員数三万名を超える堂々たる組織に発展しました。本部だけではなく、北九州支部、関東支部、関西支部など、大都市圏に置かれた支部の活動も活発に行われ、同窓会の縁に結ばれた人の輪がだんだん大きく広がっています。近年、親子で在席・卒業した方々が増えているのも大変喜ばしいことです。
右肩上がりの高度経済成長期を謳歌した昭和は遠く去り、平成も四半世紀を過ぎました。高齢化社会の到来による生産年齢人口の減少にともない、わが国にとって、全く予断の許されない厳しい時代が待ち受けています。
このような困難かつ先行き不透明な時代に、実社会において人と人のつながりの大切さを痛感させられることが少なくありません。同窓生であるということが、どれだけ人々の心に、互いに対する親近感と信頼感をもたらすことでしょう。
さて、多くの同窓生の皆様同様に、私にとって高校時代のもっとも印象深い思い出は修学旅行です。高校二年生の時、今からほぼ四十数年前、私は「第一回韓国修学旅行」に参加しました。その当時の行程は、下関からフェリーで釜山に渡り、高速道路で首都ソウルに上り、帰路は再び釜山に戻りフェリーに乗るというハードなものでした。まだ海外旅行が一般的ではない時代です。経験する全てのことが新鮮で興味深く、当時の高校生に国際社会に目を開く、大きなきっかけを与えてくれたものです。
四年前、修学旅行に同行し、「韓国修学旅行四十周年記念式典」に出席する機会に恵まれました。アジアで繁栄する両国の高校生たちが、歴史的つながりが深い、海を挟んだ隣国の文化と伝統を学び合う一方、未来志向の交流を深めるという点で、その意義が一層大きくなっていることをひしひしと感じました。創立者中村治四郎先生が熱く胸に抱いた、「国際的であれ」という教育理念は、ますます輝きを増しているのです。
これからも建学の精神「卓然自立」を様々な形で一つひとつ実現させながら、母校九州高校と同窓会が手を携えて、ますますの発展を遂げることを祈念して、ごあいさつとさせて頂きます。
平成29年3月吉日
同窓会会長 金山 秀行
同窓生の皆様へ
この度の武田壽一校長ご退任の後任として、九州高校の第十二代校長を務めることになりました田中眞太郎です。私は、3年前の令和元年4月に教頭として赴任いたしました。
日本体育大学武道学科卒業後、本県で37年間、本校で3年間勤務し、20の職場と10の役職を経験して参りました。この経験値が九州高校の未来によりよく引き継ぐことが出来ますよう精一杯努めて参る所存です。どうか宜しくお願いします。
先日の入学式において、九州高校第59期生を前に式辞を述べました。気恥ずかしくも心地よい緊張感を保ちながら厳粛かつ初々しい空気で式を閉じることができ、ほっとしているところです。
冒頭で、まだ何も磨かれていない原石のような新入生達を「立花山の楠の木の原生林」に例え、心から祝う気持ちと、これから心身ともに鍛えあげる決意を申し上げました。
本年度入学の生徒は、年々学力が向上している本校の入試を突破してきた精鋭です。また、造形芸術科の生徒は、全国的に美術やデザインの第一人者を輩出してきた本県では数少ない造形芸術科にきてくれた生徒です。きっと本校の伝統に新たな一ページを記してくれると期待しています。
さて、私は今、日本はいろんな意味で大きな転換期を迎えていると考えています。昭和から平成へ走り続けてきた国民が、今まで信用していたひと・もの・ことへの信頼が薄れ、あるいは、忙しさや煩わしさにかまけて後回しにしていた、人と人との縁とか情愛といった、目には見えないけれども世の中にあるとても大切なものが、様々な出来事を通して表に出てきたことが要因の一つであると考えています。
今後、このような社会の情勢を受け、私学教育を取り巻く環境も大きなターニンググポイントを迎えることと思います。ただ、それは本校にとってピンチではなく、『卓然自立』という建学の精神を持つ九州高校にとって、他校とは一線を画す学校としてさらなる発展を遂げるチャンスとなると考えてます。
九窓会の諸先輩方、私は本校の先生方と一丸となって生徒達を、敬愛の心を有し、知恵と忍耐力を兼ね備えた人となるよう育て上げる決意であります。どうか九窓会の皆様に代わって九州高校の未来を託されている先生方を、後輩の生徒達と同様に応援してあげてください。九州高校は、来年度、創立60年を迎えます。九州高校の未来のために協力していく心強いパートナーとなり、九窓会の皆様方の信頼を得たいと考えています。どうか今後ともご理解・ご協力賜りますようお願い申し上げまして校長就任のあいさつといたします。
校長 田中 眞太郎